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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
「ふざけんじゃねぇぞ、シズになにやってんだコラア!!」
手負いの猛獣が全身で咆哮しているようだ。今にも殺してしまいそうな凄まじい殺気を放つハルに、あたしは両手を拡げて、男を背にして間に入る。
「どけっ!!」
「嫌」
「こいつに情を移したのか、あ゛!?」
ますます怒りを煽ってしまったようだ。
だけどあたしは不思議と落ち着いていた。
そしてその場で、慣れたポーズを披露した。
そう、怒りの鎮火を懇願する"土下座"。
少し震えた言葉が、喉から出て来た。
「あなたについていきますから、どうか彼を許して下さい」
ハルに殺させたくなかった。
ハルが殺すのなら、それはあたしでいて欲しかった。
だから――。
「お願いします」
あたしは、頭を下げ続けた。
お願い、ハル。
あたしに教えて下さい。
あなたが抱える真実を。
噂や人伝ではなく、あなた自身の言葉で聞きたいの。
ねぇ、どうしてあたしの記憶の断片にあなたが映ったの?
あなたは誰なんですか?
あたしを殺したいのですか?