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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
それでも今、身に覚えなくかけられた嫌疑を晴らすよりも、女王によって解き放たれた多くの刺客から、シズを守ることを優先したかった。
シズを守るために、今の俺は在るのだから。
期限付きでの恩赦など、女王に示唆すらされていない。あの女が、命令を無視した俺を許すと思うか、しかも望みを叶えてまで。
勝手に周りが女王が流したんだろう噂に煽られて、俺より先にとシズを殺しにやってくる。俺を消して褒美を取ろうと躍起になってやってくる。
だがそれも想定内。
女王を裏切りシズを助けていることをわかられた"時"のために、手は打っていたんだ。そのために"奴"は女王の傍に居て、俺に色々情報を流した。
――俺は、ハルさんの役に立ちたいんです。だから俺は大丈夫です。
シズに懸想した女王の愛人達が殺された時が、その"時"であると読んだ奴は、女王から逃げて隣国へと戻り、廃位された俺に代わって、女王に秘匿していた現王子の地位に復位し、俺とシズの安全を守る、そんな手筈だったのに。
あろうことか、奴はシズに求愛を、求婚をした。
奴は俺の想いを知り、先刻、シズを探す手助けをしたいと言いながら。
俺は奴を心から信じていたというのに。
なぁ、シズ。
お前、奴と……できていたのか。
だから、俺と先に進むのを嫌がっていたんじゃねぇか。
だから、奴は俺を裏切ったんじゃねぇか。
俺が距離を置いたあの期間、あいつに抱かれてたのか?
俺はそれを想像して、全身の血が音をたてて引くのを感じた。
肌を打ち付ける雨が、さらに体温を凍らせ、心を氷結していく。
違うと、否定できなかった。
俺は――。
シズが俺が見る目が違うことに、ついさっき気づいたばかりの愚鈍さを証明したばかりなのだから。