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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
 

 氷のような雨が俺の心に打ち付ける。


 雨。雨。雨。


 滲んだこの昏い景色の中、俺の想いだけが熱くて。


 冷めてくれ。

 なぁ、冷めろよ。



 懇願するように俺は、木に押しつけたシズの肌に噛みついた。


 昔から大事な大事なシズだった。

 欲しくてたまらず、何度も手を伸ばして、我慢した。


 そんなシズの肌を、力で蹂躙する。


 守り抜くのは時間がかかるというのに、壊すのは一瞬でこんなに容易く。


 シズの目に浮かぶ怯えた光は、もう戻れないことを告げるシグナルだと悟った俺は、噛みついて引き千切った、シズの胸の飾りのレースでシズの目を縛って塞いだ。


 見るな。

 そんな目で俺を見るんじゃない。



「ん、ふぅ……っ」



 何度も、雨に冷え切ったシズの喉もとに噛みついて、俺はこれからお前を食らう男なのだと、捕食者なのだとわからせる。

 俺が見立てた服を引きちぎり、触れたくてたまらなかった…見ることも叶わなかった白い乳房を鷲掴む。


 体を震わせて鳥肌をたてるのに、それでも声を出さないのは、体は従順になっても、心の貞操だけは守りたいという健気さのアピールか。


 たまらねぇな、その心。

 ……どんなに俺が欲しがっていたのか、お前は知ろうともしなかった。


 あれだけ唇を重ねて

 あれだけお前を愛でて。


 狂おしい想いを押えて、お前の心の育ちを待っていたのに。

 お前の心は、別の男に反応して育っちまった。


 結局俺はお前のなんだったんだ?

 奴を引合わせるための、奴との純愛を貫くための、当て馬か?


「なぁ、シズ」


 氷柱のように刺々しい俺の心とは裏腹に、どこまでも蕩けるような柔らかさを見せるシズの乳房が、俺の心を苛立たせた。

 
「俺を弾いて、どこまで触らせた?」


 どこまでも男を誘う女の体。

 この俺を挑発して、歓喜に奮い立たせる……そんな。



「魔性の、この淫乱」


 哀しいほどに、俺はそんなお前から逃れられない。


 母親譲りの魔性だとわかっていても、それでも俺は、お前に恋い焦がれる。……狂おしいほどに。


 欲しくて欲しくてたまらねぇ。

 お前の心がなくても、お前の体だけでもいいから。


 お前を織りなすものの片鱗でもいい、俺が独占したいんだ。


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