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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
不覚にも涙が出た。
嬉しいのか哀しいのかわからねぇ。
破瓜の痛みに歪んだシズの顔。
その目には、今の悪魔のような俺が映っていないことだけは確かだろう。
こんな俺を歓迎などするものか。
こんな俺に愛情などわくものか。
俺はシズの体と引き替えに、永遠にシズの心を失った。
わかっている。
それは最初からわかっている。
俺ではシズの心は手に入れられないことを。
だからもう、お前の体を奪うしか手はなかった。
シズ……愛しているんだ。
「俺を見ろよ」
痛い、痛い、痛い。
「お前の処女を奪った男の顔をよく見ろよ」
冷たすぎる心の棘が。
シズへの愛で膨らむ胸に突き刺さり、体中を芯から凍らせて、砕こうと震えた。
だけど冷えない。凍てつかない。
シズへの愛だけは。
俺は――。
「お前を女にしたのは、俺だ」
どうしても俺は、お前が愛おしくてたまらねぇんだ。
力尽くで奪う空しさを、わかっていればこそに。
だから――。
「奴からお前を奪った俺を憎めよ」
憎んで憎んで俺しか考えられなくなっちまえ。
愛の代わりに、俺に縛られてくれ。
「その痛みを、俺にぶつけてこいよ」
トメロ。
俺は。
オレヲトメテクレ。
俺がしたいのは――。
シタイノハコンナコトジャナイ。
俺はただ――。
オレガホシイノハ――。
「好き……っ」
突如、消えていた音が響いた。
「好きなの――、ハルがっ」
シズが、俺に抱きついてきたんだ。
…俺と繋がったまま。