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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
  


 彼は、あたしを助けるためにすべてを失った。

 罪人として枷をつけられた彼に、あたしは泣きじゃくって両親に慈悲の赦しを求めたが、あたしは無力すぎた。


 泣いてハル兄から離れようとしないあたしに、彼は耳もとで囁いた。


――必ず会いに行く。迎えに行く。だから、それまで待っていてくれ。
 


 今まで見たこともない、切なくなるほどの真摯な顔を向けられて、あたしは……初めて彼へ、異性としての恋心が育っていたことを悟った。

 

 ああ、あれはハルだったんだ。

 だからあたしは城から出られなくても、平気で城に居続けたんだ。


 いつか王子様が。

 いつかハル兄が。


 迎えに来てくれると思って。


 
――よくお聞き白雪。



 どうして、それを今まで忘れていられたのか。



――お前はすべてを忘れ、ずっと城で生き続けるのだ。醜く朽ち果てるまで。


 そしてハル兄を忘れ去ったあたしは、城から飛び出した。



 だけどそれは、きっとハルに会うために必要だった。

 忘れていても、心はハル兄を求めていた。



 ハル兄。

 いいえ、ハル。
 



「ハルが、好き――っ!!」



 受け入れなくてもいいから。

 約束を忘れててもいいから。


 今の、王女とは程遠いあたしの心だけは知って下さい。


 泣かないで。

 泣かないで。



 あなたのその傷つき凍てついた心を、

 あたしの体で温められたら――。



 
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