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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
冷えた空気と湿気が立ちこめる洞穴――。
以前誰かが休憩場にでもしていたのか、埃まみれの毛布数点の他、焚き火の名残や、未使用のまま積まれた薪、なにかの動物の骨が散乱している。
ハルはとりあえずあたしを肩から下ろすと、毛布を入り口近くで豪快に手で叩いて埃を払い、それを地面に敷いてあたしを座らせた。
「風邪ひく。濡れた服を脱いで、この毛布にくるまってろ。これならさほど汚れてねぇから」
服……と言っても、ハルに引き剥がされて殆ど残骸だが、それでもすべて取り払って毛布にくるまれば、いかに自分の身体が寒かったのかがわかる。
今さらながらカタカタ震えがきたあたしの前で、ハルは慣れた手つきで、散乱物を使って火をおこし、あっという間にパチパチと温かい暖を作り出していた。
「暖かい……」
人間は、どうして暖をとりたくなると、両手を伸ばしてしまうのだろう。
手よりも胴体の方が冷えていると思うのに。
「ハルも……」
後ろを振り返れば、ハルはこちらに背を向けて服を脱いでいた。
逞しい背中を見て、あたしは慌てて見ないふりをして、焚き火に集中した。
ハルの裸を見るのは初めてでもないし、触れたことも何度もある。
そして今だって、直前までいやらしいことをしていたというのに、どうしてこんなにドキドキするのだろう。
雨の音。焚き火の音。
……ハルが脱衣する音。ハルが息をしている音。
音はあるのに、まるで無音の世界で息を潜ませているような緊張感。
胸をドクドクと打ちつける心臓が、口から飛び出て来そうだ。