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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
「……ひたすら、この時を待ち続けていてよかった。
夢は、信じていれば叶うものなら。だったら最後まで信じさせてくれ……。俺を、父親にさせろよ……シズル」
あたしのお腹を、ハルの大きな手が優しく撫でた。
愛おしいハル。
子供が欲しいよ、ハル。
「幸せな父親にさせてくれよ。お前の隣で……」
これから先、ハルの代わりに支えになってくれる存在が。
「シズ……泣いてるのか? シズ……? ……寝ているのか。ちくしょう、俺様が告白しているのによ」
ハル。
ハル。
「ふっ…体力が限界か……。かなり無理させちまったものな。
離さねぇぞ、シズ。俺の気持ちは最初から変わってねぇ。絶対にお前を俺の……、やべ……俺まで眠気が……。ああ、このままもう1発と思ってたのに……。
くそっ……。ん……目が覚めたら、お前に…言うからな……。お前を俺の……にするって……。拒否は……認め……ねぇ……」
今度は――あたしがハルを守るから。
思い出をありがとう。
愛をありがとう。
あたしは、ハルを忘れない。
ずっとハルを、愛し続けるから。
だから――。
「さようなら……」
あたしが呟いた言葉は、寝入ったハルには届かなかった――。
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それから数刻――。
「貴女は本当にそれでいいんですね?」
記憶に残る大木の前、"約束"として律儀に待っていた眼鏡をかけた黒髪の男が念を押す。
「ええ」
毛布にくるまりながら、あたしはしっかりと頷いた。
「あたしの願いを叶えてくれるのなら、あたしはあなたの意志に従います」
変わらぬあたしの決意を聞いて、戸惑うような光を浮かべていた男は、静かな微笑みを見せて言った。
「では――僕と参りましょう、姫」