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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
「王の寵愛を独り占めしたという理由で、実の娘すら食らって生きようと出来るお前は、最早魔物。
人としての母としての理性を失い、女としての価値もねぇただのクズだ。長年殺したくて溜まらなかった"白雪"がいなくなり、狂気に満ちた動物のようなナリを披露して、本当に自分は美しいとでも思っているのか、てめぇは」
目の前で嘲るように笑いながら、煙草を吸い出す不遜な男に、王妃の顔が醜く歪む。
「お前のおかげで、俺は……"姫"を失った」
そして男は、手にしていた猟銃の銃口を王妃に向けた。
「姫を妻にしたいという俺の夢まで、お前は壊した」
放たれるのは殺気――。
「俺はなぁ、挨拶にきたんだよ。
人として、きっちりとけじめをつけにきた」
「そなたは何者だ!! 白雪の……なんなのだ!!」
「答える前に教えてやる。この国は、既に隣国のものだ。城はすべて、隣国の兵が包囲してる。
俺から奪ったたものを、返して貰うぞ」
「ひ、っ……」
そして男は、猟銃の引き金をゆっくりと引きながら、悠然と笑った。
「俺が誰かって?
俺はただのしがない猟師さ。その猟師が、ただ挨拶に来ただけの話」
銃音。
「ぎゃあああああああ!!」
しかし銃弾は、王妃の横をぎりぎりにそれていた。
「殺す前に――。
ひとこと……ご挨拶をと思ってな。
可愛い可愛い俺の嫁さんの、そして不本意ながら俺の。
――母君にな」
王妃の目が大きく見開く。
「お前の娘を貰うぞ」
「は!? でも確かに棺に……っ」
「"姫"は死んだ。だが俺の嫁は生きている。
俺を慕ってくれる優しい奴らの粋な計らいを知らぬ間は、気が狂いそうになってはいたがな」