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【SS】目が覚めたら…?
第26章 【ピックアップ御礼】その日……。
 
 

 これは……自慢するだけのことがある。

 これは帝王のしっかりとした凶器だ。


 え、ここまでのモノだったっけ、波瑠兄の。

 興奮してもいないのに、僕の記憶以上の雄々しいお姿。




 これがあれば、僕……下のお口に……。

 念願の、しーちゃんの下のお口に……



「………っ」 


 他の女なんてどうでもいいんだ。

 要するにしーちゃんの下のお口に挿れて、ふたりで気持ちよくなって、しーちゃんに僕の栄養を……。



――ナツ、あたしもう駄目、ナツ、一緒に、一緒に――っ!!



 ふふふ……。


「うふふふ……」



 むくむくと大きくなっていく、息子さん。


 おお~。

 おお!?


 おおおおっ!?







「ナツ」



 僕の妄想と歓喜を遮ったのは、僕の声音の低い響き。



「俺様の体を撫で回した挙げ句、どこを覗き込んで妄想に耽ってる」


 剣呑な言葉遣いながらも、どこか柔らかい声調。


「そこまで、"おっき"した俺様の息子さんと"こんにちは"したいのか」



 振り向けば……ドアを背に凭れさせ、呆れ顔で立っていた波瑠兄。

 もとい、僕の姿。


 それで僕は現実に返る。


「波瑠兄、僕達っ!!」

「ナツ。発情した俺の顔で目をうるうるさせて、抱きついてくるな」


 波瑠兄は、この異常事態にまるで動じていない。


 ああ、僕の姿なのになんて頼もしいのか。

 さすがは僕……じゃなくて波瑠兄だ!!



「あ、ごめんね。僕……動揺しちゃって」


 ぐしりと鼻を啜りながら、濡れた目を手の甲で拭って笑う。


「……ナツ、お前だから許されると思うものの……俺様の姿でそれは、かなり異様だぞ。とりあえず息子さんとはさようならをしろ」


「うん。ひとまずさようなら、またね」


 息子さんとさようなら。

 物悲しい別れのひととき。



 目の前では、複雑そうに眉間に皺を寄せる僕。

 ああ、これが……波瑠兄ならアリで、僕にはナシの"むっつり"か。

 
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