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【SS】目が覚めたら…?
第26章 【ピックアップ御礼】その日……。
 

 昔波瑠兄を目指して、波瑠兄のように"むっつり"で顔を顰めさせていたら、サクラに視力が悪くなったのだと誤解され、そのままメガネ屋に連れて行かれてしまい、やめた。

 同じようにむっつりしている波瑠兄には、サクラ……"波瑠さん今日は機嫌がよさそうだな"なんて、嬉しそうに耳打ちしてきた。


 今この状況を見て、サクラはどう言うだろうか。


 やはり波瑠兄をメガネ屋に連れて行こうとするのだろうか。

 僕がむっつりしていたら、いつもの波瑠兄だと温かい目で見てくれるのだろうか。



 まあとにかく。


 むっつりが出来ない僕は、むっつりばかりしている波瑠兄の体になってしまって、これからどうしようということだ。


「波瑠兄、なにか特効のお薬ないの?」

「まあ、あるオトコから言われたことはあるがな……"人格を入れ替える薬"っての。新宿の裏通りの夜中十時きっかり五分間だけ出没する、黒づくめの男だが……買ってみるか?」

「波瑠兄、それは怪しすぎる男だよ。それはいけないお薬だよ!! 駄目だよ、そんなものに手を出しちゃ!! 波瑠兄、お医者さんなんだからね!? 医師免許取り上げられちゃう……って、今は僕か!?」


「……そう、今ならお前だ」


「どうしよう、僕……っ、波瑠兄に代わってお仕事は無理だよ。しーちゃんの治療なら出来る……」


 すると波瑠兄は、僕の姿で僕のおでこを指で弾いた。


「病院には、急性虫垂炎の疑いありということで休む旨の連絡は入れてある。だからお前は治療しなくても大丈夫だ」


「そうか、よかった。だったら僕はしーちゃんとお医者さんごっこ……」


 またパチンと指でおでこを弾かれる。

 

「医者の体でお医者さんごっこは駄目だ。ベタ過ぎる」

「えええ!?」
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