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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
その白いテーブルにはおいしそうなケーキがある。
外に匂っていたのはこの匂いだ。できたてらしく、ほかほかとした湯気が立ち上っている。
だが――。
「随分と小さいケーキ……」
両手に乗るくらいの円形のケーキが、7つに分けられている。
切り分け難いと思うが、きっちりと7等分。
切った主は、凄く几帳面な性格なんだろう。
ひとつひとつはとても小さいけれど、おいしそう……。
「すみません、誰かいますか?」
やはり返事がない。
返事をしたのはあたしの腹の虫だ。
ああ、いけないと思いつつも。
「ひとつだけ……」
誘惑の手から逃れられない。
7つのうち、ひとつだけ。
ねぇ、ひとつだけだから……食べさせて。
食べた分はちゃんと働くから。
「おいちぃ~」
なんなのこの極上の味。
木の実をふんだんに使った、ふわりと蕩けてしまいそうな食感。
二つ目に手が伸びたが、そこは理性で押し止めた。
小さくてもおいしいという感動が、満足感をもたらした。
こんなおいしいものを作るなんて、絶対この小屋の主は魔女なんかではないだろう。料理もお裁縫もお花を育てるのも上手な女の子に違いない。
部屋はとても綺麗で塵ひとつなく、清掃上手。真っ白なカーテンやタオルなどを見れば、洗濯も上手なのだろう。
違和感といえば、壁にある雄々しい角を見せる鹿の頭の剥製。猛々しい一面もある女性なのだろうか。どんな人なんだろう。
そんな時だ。
「あ~、汚い足跡っ!!」
閉めたはずのドアが開いている。
だけど声の主は見当たらない。
「シロお仕事サボってる!! ああ、ここにも足跡~。ここも~」
可愛らしい声がしたのは、突如現れた……床にもぞもぞうごく"なにか"。
子猫かなにかだろうか。だけど人間語喋ってる……?
性別がよくわからないが、幼い子供のような声。