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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
「あぁ……っ、僕が焼いたケーキがひとつなくなってる!! 誰だよ、先に食べちゃった奴!! しーちゃんにあげられないじゃないか!!」
テーブルの上に乗り、憤ったように足をだんだんと打ち付けているのは、最初の赤色三角帽子のナツ。
「しーちゃん、これね、僕が作ったハンカチなの。あげる」
もじもじしながら水色の小さいハンカチを差し出したのは、青色三角帽子のナツ。
「抜け駆けは駄目だよ、アオ!! まず床の汚れとるのが先決っ!!」
あたしのつけた足跡を、あたしから取り上げたハンカチでごしごしと拭き始めたのは、白色三角帽子のナツ。
青い三角帽子のナツがしくしく始めたため、思わずその頭をよしよしと撫でていると、なにかが肩に飛び乗ってくる。
「ねぇねぇしーちゃん、どんなお花が好き? 僕はね……」
あたしの肩の上に座って花を語り始めるのが、緑色三角帽子のナツ。
「リョク、そこどけて!! しーちゃん、お洋服が汚れてるっ!! 僕が綺麗にお洗濯してあげるから、脱いで脱いで!!」
あたしの服を脱がそうとし始めたのは、黄色い三角帽子のナツ。
「キ!! 僕のしーちゃんに触るなっ!!」
そんな黄色い三角帽子ナツに、木製の銃らしきものから水をぴゅうぴゅう飛ばして顔に命中させたのは、橙色三角帽子のナツ。
なにがなにやらわからないが、あたしはこの騒がしいナツ6人に好かれたようだ。……多分。
「あなた達、お名前は?」
すると至る処でじゃれついていたナツ6人が、ぴしっと横一列に並んで言った。
「「「「「「ナツ!!」」」」」」
同じ顔で同じ名前。
彼らは帽子の色で呼び合っているように思えた。
「ええと、よろしくね、ナツ」
「「「「「「よろしくね、しーちゃん」」」」」」
皆そろって首を縦に振って同じ返事、同じ愛らしい笑顔。
6人横一列に並ばれると、色以外本当に違いがわからない。
微笑ましいと第三者的に眺めていてはいけない。
あたしは、このナツ達に勝手にしてしまったことを謝らなくっちゃ。