この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
だから別の話をして、仕事以外の理由で話の輪の中に取り込もうとするのだけれど、ハナタレナツは自分だけ違うということがショックらしい。
ぽよんと膨らんだ腹を押しつけるようにして、うるうるとした目であたしを見ながら、あたしの服を引っ張り部屋に連れて行こうとする。
「えっち、教えてあげる……」
あたしも適当についていけばいいのだろう。
だがこのナツは、邪険に扱ってはいけない気がして。
「クロ、働いていないのに、しーちゃん独占しようなんて生意気だ」
「大体気持ち悪いよ、あの姿。どうしてナツのくせにあんなに醜いの?」
「しーちゃん、あいつに構わないで。クロは狡い奴だもの」
皆が口々に、ハナタレナツを悪く言い始め、そしてますます彼は孤立してしまう。うまくやるという匙加減が難しいのだ。
そして問題点はもうひとつ。
あたしの体力がナツ達の体力に劣り(いやナツ達が異常に元気すぎるだけかもしれないけれど)、夜中の9時には疲労が限界になって、橙ナツが作ってくれたあたし専用のベッドに倒れ込んでしまうんだ。
そして、初仕事から何日かたったある夜――。
疲れてとろとろ眠っているあたしは、声に起こされた。
「「「「「「しーちゃん、扱き使ってごめんなさい」」」」」」
ベッドの下に正座する6人のナツ。
口を揃えて一斉に頭を下げた。
半分泣き顔を見せるナツ達が目に入り、一体なにが起きたのかと、起き上がれば。
「「「「「「しーちゃんをいつも疲れさせてしまう僕達が、しーちゃんが少しでも元気になるように、一生懸命お仕事をさせて頂きます」」」」」」
「はい?」
ハナタレナツは、部屋の片隅に膝を抱えてしくしく泣きながら見ている。疲れさせるだけの仕事をしていないとまたハブられたのだろう。それでも同じ場にいることを許可されていることは、よかったねというべきかどうか。
それにしても、一体なにが始まるというのか。
ナツ達はこの時間、各自のお仕事をしているはずじゃ……?