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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
……だけど、実際問題、この子達は大きくならないだろう。
そして。長い年月を見据えれば、今よりは何周りくらいかは大きくなるのかもしれないけれど、その頃あたしはここにいるかどうか。
あたしは最近、夢で誘われているのだ。
あたしに待っててと言っていた、王子様に。
ハナタレナツの淫技によって、心身共に満たされたあたしは、果ての世界で、あたしを待つ王子様に手を差し伸べられていて。
その手をとろうとすれば目覚める、そんな哀しい夢。
顔を見たいのに。
声を聴きたいのに。
果ての世界で曖昧にしか会えないというのなら。
現実世界で会いたい……そんな恋い焦がれるような衝動が生まれてしまっていたのだ。
そう、彼はあたしの希望なのだ。
彼に会いたい。
会うために、あたしは生きたい。
それが今のあたしの活力となっている。
この子達は好きだ。
だけどこの子達が森から出る気がないのなら。
この子達が森の出口を口にすること自体怖れるのなら。
あたしはいずれ、王子様に会いにここから出る。
あたしを庇護してあたしに懐くこの子達を、ここに置き去りにする覚悟が出来て、森からの脱出方法がわかればの話――。
「「「「「「本当にしーちゃんと結婚できるの?」」」」」」
「本当、本当」
6人とハナタレナツの顔が、さらに太陽の如くぱっと輝いた。
子供が夢見る幸せな結婚――。
わらわらいる小さいナツ達とあたしの結婚式。
だけどあたしも夢見ている。
昔からあたしを切なくさせる、あたしの王子様との幸せな結婚を。
夢見させることに、時に嘘もいいいでしょう?