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【SS】目が覚めたら…?
第3章 Ⅱ.ナツと……
ナツはあたしの着物と一緒に、並んで歩けるようにと自分の着物も仕立てていたらしいけれど、その時より身長が伸びすぎて、今着るとつんつるてんになってしまうらしい。
ナツと着物姿で歩くのは、修繕が終ったまたの機会にということで、今のナツは洋装だ。
ご近所さんにお出かけというのに、さすがは現役モデル――背筋を正して歩く姿からして只者ではないオーラを出し、行き交う人々の視線を集めている。
…その頭からにっこりお花が咲いていようと、どんなに卑猥さに染まっていようと、外見上の美貌は損なわれることはない。
長身に見合う、デザイン系の黒コート。ブーツを隠すほど長い裾を颯爽と翻し、首には薄紫のマフラー。
無言で彼が歩く限り残念でたまらないものは、隠された変態性ではなく、ナツの美貌を艶消しにするあたしだ。
だから前後になるように歩いているのに、ナツは必ずあたしの歩調に合わせてくる。早くても遅くても、ちゃんと手を引いて真横に立つ。
しかもすれ違う人々や自動車、自転車からあたしを護るように、さりげなく体や手であたしを庇う様は、……頭より体がすっと動いているようなあたり、本当にナツは凄いと思う。
こんなナツをあたしが引き連れてしまうことが申し訳なく思う反面、皆から熱視線を送られるナツが誇らしくも思う。……卑猥さがなければ。
昔は、あたしが護ってあげてたのにね。
そんなことを感慨深く思っている横で、ナツは別のことを考えていたらしい。いつの間にか、ナツのほっぺがぷっくり膨らんでお口が尖っている。
「もぅ……皆しーちゃん見過ぎ!! ハル兄の車借りればよかったかな」
ナツがぷりぷり怒っているが、注目を浴びているのはあたしじゃないよ。