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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
――しーちゃんは、えっちだね。
ほろり。
頬に伝い落ちた涙に気づいたナツが、驚いた顔であたしを見ている。
「しーちゃん……」
会話をしたいのに、ナツから漏れる言葉が妙に恐くて、臆病者のあたしは逃げ出すしか出来ない。
「水浴び、してくるね」
「だったら僕も……」
「ちょっとひとりにさせて」
思いの外語気を強めてしまったらしい。
ナツの表情からそれを感じ取ったあたしは、無理矢理に笑いを作って小屋の裏にある泉に走った。
今はただ、ナツから与えられる快感から離れたかった。
「……気持ちいい……」
泉の手前側は丁度良い浅瀬になっている。
湧き出る泉はとても綺麗なもので、ナツ達もよくここで水浴びという名の遊びをしていたものだ。
服と帽子を脱げば、誰が誰だかわからなくなってしまうそっくりなナツ6人と、脱いでも誰だかわかるハナタレナツひとりと。
夜は疲労しているために不可抗力的に裸を見せているけれど、昼間のあたしは服を着たまま、ナツ達を洗って上げていた。
きゃっきゃっと弾けるような笑顔を向けたり、妙にもじもじして意識したり、反応は7人7様であったことが思い出されて、またほろりと涙が零れてしまった。
ナツ達はどこにいったのだろう。
見捨てられた気分になったあたしが、しんみりとした心地から立ち直りたいと、一度泉の中に頭まで沈めた。
頭の先まで冷えれば、きっとこの出口のない悲しみから逃れられる良い案が思い浮かぶと思ったから。
そんな時だ。
「――そこまで辛いなら、どうして俺を呼ばない!?」
無理矢理に引き揚げられ、怒鳴るように叫ぶのは――、
「あんたに、あのくしを渡しただろう!?」
艶やかな黒髪をした、ナツの友達…サクラ。