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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
「僕のモノを横取りする気か!?」
"僕のモノ"
ああ、あたしはナツに所有されたモノなんだ。
どうでもいいことでまた心を痛めていたあたしは、ナツがあたしを抱えたままじゃぶじゃぶと泉に入り、サクラを蹴り上げようとしているのに気づいて、必死に止めた。
「ナツ、ナツ。違うのっ!! 彼はあたしを助けてくれて……」
いつも気品すら漂わせていたナツのその荒々しい豹変ぶりに、あたしは竦み上がりながらも必死に訴えたのだが、ナツの視界にあたしは入っていなかった。
「サクラ。彼女をどう"助け"ようとしていた!? 知っているんだぞ、お前……しーちゃんにあのくしを渡していただろう!! なんで、なんでお前がっ!! お前を信用して預けていた、あの女のくしだったのに!!」
"あの女のくし"
あたしがサクラから貰ったくしは、ナツの女のくし?
あたしはそれをずっとドレスのポケットに入れていた。ナツは洗濯かなにかをしようとして、それを見つけてしまったのだろう。
あのくしにどんな効果があるのかはわからない。
だがあたしには、ナツとサクラという友情の絆にも守られていた、くしの持ち主である女が妬ましくて仕方が無かった。
「そういう意味じゃないっ!! ナツ誤解だ。俺は裏切ってなどいないっ!!」
「だったら、兄さんか!? お前は忠実だものな。僕より、ハル兄に!!」
「ナツ、どうしたんだ、ナツっ!?」
"ハル兄"……?
その名前がなにかひっかかる。
そこから思えば、最初からナツの名前も妙に自分に馴染んでいた。
ただサクラという名前はひっかからない。その顔に懐かしさを感じても。
あたしは、彼らと知り合いだったのだろうか。