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【SS】目が覚めたら…?
第3章 Ⅱ.ナツと……
そして数分後――。
「――うるせぇよ。どけよ、サクラ。なんでお前が彼女と同じ着物着てここにいるんだ、なに連れ込んでるんだよ、てめぇ――っ!!」
……ブチギレモード全開のナツが来ました。
「ナツ、落ち着け、ナツっ!!」
「落ち着いてられるかってんだ。お前……彼女を組み敷いてないよな。もし襲っていたのなら――」
「ナツ、ナツっ!! あたしは大丈夫。あたし、モモちゃんに確保されて……」
「なんで……サクラの服を着てるんだよっ!!」
「ナツ、落ち着け。ナツ――っ、円周率、小数点以下30桁!!」
え、円周率……ってなんだっけ。
「――!? 3.……1415926535……」
こんな状況でナツ、言えるんかいっ!!
「89793238462643383279!!」
「正解」
モモちゃんも正否がわかるんかいっ!!
不可思議な呪文のような30桁は、ナツの暴走を食い止める効果があるらしい。モモちゃんを殺すかと思ったような凶悪な色はナツから消えていた。
そしてナツは、あたしからモモちゃんのマフラーと上着を乱暴に取ると、窒息してしまうくらいの強さで思いきりあたしを抱きしめる。
「なんで……逃げるんだ。なんで、なんで!!!!」
ナツの体が震え、発する声が悲痛だった。
「だって……ナツが笑われる。こんなおばさんと歩いていたら……」
「なにを言ってるんだよ。あんな女達の言葉をなに鵜呑みにしてるんだよ」
口調はまだ、ナツのものではない。
いや、もしかするとこれが素なのか……?
「お似合いだったもの、あの子達とナ……」
「……それ以上言ったら、しーちゃん……犯すよ」
「……え?」
恐ろしく低められた静かなる口調。
「サクラに判別してもらう。しーちゃんが気にするほど、恥ずかしい体してるのか」
「はっ!? ば、バカ言うな、ナツ!!!」
とばっちりを受けたモモちゃん、驚いて口を開けたまま。
「そんなに客観的な判断が必要なら、サクラの前でしーちゃんを抱く」
そう言うと、ナツは据わった目のまま……、あたしの返答も聞かずに、あたしの唇を奪った。