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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
  

「あ、ああ……っ、ナツ、ん……違う。サクラは……関係な……」

「僕から逃げようとして、サクラに助けを求めようとしていたのに?」


 ナツは誤解している。


「違……」

「どうして今まで、くしのこと黙っていたのさ!?」


 くし。

 サクラが渡してくれたあのくしが、なんだと言うの?


――お前を信用して預けていた、あの女のくしだったのに!!


「ナツには、言う必要がない……と…」


 あのくしを捨てられなかったのは、サクラに会った時に返そうとしていたからだ。だからいつも服に忍ばせていた。なかったことにするのだから、ナツには関係なかった。

 あたしがこでナツと生きようと思う限りは。


「僕に、言う必要がない……?」


 ナツの整った柳眉が、不快さに跳ね上がる。

 その間も秘部に焦れたような愛撫は続けられていて、あたしの口からは絶えず甘美な息が漏れる。


「そう…よ、ねぇ、あの……ん、んふぅ……くしは、一体……」


 ナツに言うかどうかの問題より、あたしにとってはくしの存在が重要で。


「それこそ、君に言う必要がない」


 冷たく、線をびしりと引かれ、指が抜かれた。

 ここから先、交わることがないというように。


 哀しい。

 哀しいよ。


 こんな淫らな関係になっても、やはり心は近くにない。

 理解したいのに理解できない。


「いつもいつも、そうやって僕は対象外なんだね。僕は君の核心には入れて貰えない……」


 剣呑さに満ちたナツの言葉を聞いていないあたしは、向けられたぎらぎらとしたナツの眼差しに怯えてしまう。


 ナツの目が恐い。


 澱んだ光の奥には、可愛い小人だった名残はなにも見えない。

 あのひたむきな、一途に向けられていた熱情は何も見えない。


――6人のナツが死んで、最後のナツは……成長しただろう!?


 あのナツ達は、本当に死んでしまったの?

 もういないの?

 なんで死んでしまったの?


――しーちゃん、だあいすき。

――しーちゃん、これ作ったの~。

――うふふ~。 


 だったら、このナツは誰?

 ここにいるのはなぜ?


 どうしてあたしを抱こうとしているの?

 どうしてあたしは、このナツに抱かれていたの?

 ……どうして、あたしはハジメテを捧げたいと思ったの?
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