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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
 

 ナツの目は、凍えていた。

 こんなにたくさんあたしがいるのに、そのどれもに見向きしていない。

 あたしに興味がないとでもいうように。


――お前を信用して預けていた、あの女のくしだったのに!!


 "あの女"なら、興味があるの?

 あたしは、あの女に勝ることは出来ないの?


 胸がずきずき痛む。ナツの熱を失った秘部が冷たい。


 あたしは、ナツのなに?


 ねぇ、あたしを見てよ。

 優しく微笑んでよ。


 それが偽りだとしても、最後まであたしを騙し続けてよ。


 少しでも、愛されていると。

 ねぇ、愛しているから抱こうとしているのだと。


 そしたらあたし――。


「そんなにサクラが好き?」


 他の男の名前を出した、蠱惑的な笑いはナツの拒絶。


 違う、あたしがほしいのはそんなものじゃない。

 もっと、もっとナツの剥き出しの心を――。


「昔は、あんなにハル兄を好きだったのにね?」


 どくん。


 "ハル兄"


「それは……誰……?」


 あたしの心を奮わすその名。

 ナツは薄く笑った。



「僕の兄だよ。山にいる、ね。忘れちゃった? ははは……あのハル兄ですら忘れるのなら、僕なんて"存在していなかった"だろうね。いつでもどうでもいい、希薄すぎる存在だものね、僕は」


 責めるように、だけどどこか自虐的に笑うナツの顔は悲壮で。


「ああ、無駄話しすぎちゃったね」


 あたしの記憶の中でなにかがちらちらと動き始めた時、再びナツの指が下着の中に滑り込み、あたしは思わず声を上げた。


「本当は、しーちゃんをこうしているのは、ハル兄やサクラかもしれない。僕ではない可能性の方が高かったよね。あぁ、僕に初めて捧げちゃったのは、しーちゃんの人生の中で一番の最悪事件だ」 


 蠱惑的な笑いの仮面を被って鏡から見下ろすナツは、反対の手であたしの胸の蕾を二本の指で擦り合わせながら、わざといやらしくあたしの下着の中で指を動かした。


「だけど僕は、ごめんなんて言わない。繋がること、やめたいとも思わない。君は最後まで、そうやって僕の身体で喘いでいればいい」


 沢山のナツに、あたしの痴態を見られている――。


 そう思っただけで身体から火を吹きそうだ。

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