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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
消えるということを知りながら、しーちゃんと寄り添えない現実を改めて思い知ることで、見ぬふりをしていたやり場のない苛立ちに僕は爆ぜてしまった。
押さえ込んでいた嫉妬が、培ってきた友情すら皹を入れようとする。
諦めたはずの未来を、渇望してしまう。
どうして僕だけ愛されない?
今まで、苦しんでいたものが大きく膨れあがる。
今も昔も彼女の近くに居て。
今も昔も彼女をこんなに愛していて。
僕に与えられる優しさが大きいほどに、それが僕が求める愛ではないということが、どれだけ僕を苦しませるのか。
僕は、しーちゃんを愛して繋がれる"男"であるのに、しーちゃんの心は別の男を求めていて、僕との繋がりを拒否を始めて。
6人の僕を殺しても、僕には3日をも彼女を繋ぎ止めることが出来なくて。
初めて、交わるのが痛いと言われた時、僕は耐えたんだ。
僕の愛で、しーちゃんをくるめていない力不足に。
なにが悪かったのか。
自省した結果、出て来た答えは、僕が飛ばしすぎたこと。
時間制限を気にしすぎて、愛する彼女に無理をさせた。
……男として、失格だ。
そう思ったらもうため息しか出て来なくて。
だから、本当はなにもしなくとも抱いていたかったけれど。
眠るしーちゃんの寝顔を、隣で見ていたかったけれど、耐えた。
せめてもの僕への戒め。
そして明日、また愛そうと――。
そして戻った居間で、しーちゃんのドレスを片付けようとしたときに落ちた、遠い記憶に残るくし。
これは王妃の魔力が籠もった特殊なくしで、その魔力で小人化された僕に万が一があればと、友情の名にかけてサクラに渡していたものだった。
サクラを気にする素振りを見せていたしーちゃんに、僕にとって"核"となりえるくしを勝手に簡単に渡していた僕の親友は、僕の込めた友情以上に…僕の知らぬ間にしーちゃんとの距離を詰めるものに利用していた。
このくしの意味を知っているはずなのに!!