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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
その耳朶をちゅくりと唇で食めば、しーちゃんは可愛らしい声を出して、僕にしなだれる。そして、また立ち直ってポカポカ。
「ナツには、昔から好きなひとがいるんでしょう?」
僕の胸から聞こえたこの言葉は、本当にしーちゃんが口にしたものなのか。とんでもない声が聞こえてくる。
「あたしをそのひとの代わりにしているんでしょう!?」
「僕が今まで好きになったのはしーちゃんだけだ。今のしーちゃん以外に好きになったひとがいたとすれば、それは昔のしーちゃんだ」
「昔……?」
僕は身体を離し、しーちゃんの手を手に取り、その甲に口づける。
「可愛い可愛い隣国のお姫様。君は僕をとても可愛がってくれた。どもって言葉が出て来ない僕を可愛がってくれたね」
しーちゃんの瞳が揺れる。
「ハル兄の求婚に君は、こう言った。"嫁になるのなら"……」
「"ナツがいい"……。あのナツが……ナツ?」
泣き虫なお姫様。
ようやく思い出してくれたんだね。
「ナツ、あのナツなの? あの可愛いナツなの――っ!?」
そこまで眩しい笑顔で感激されたら、僕は照れてしまうじゃないか。