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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
「可愛い……とは思えないけれど、僕はあのナツ……」
「よかった、ナツが……生きてたっ!! だから可愛かったんだ。だから惹かれたんだ……っ、ナツ……」
しーちゃんは慈愛深く、それでいて…僕が欲しい"女"の顔で、僕をじっと見つめてきて、ゆっくりと僕の唇に唇を重ねてきたんだ。
「こうなれたのは、運命、なんだね。」
はらはらと流れ落ちるしーちゃんの涙を見て、あさっての朝には散る予定だといえない僕は、ただ笑って口づけ返すしかできないけれど。
運命だと諦めていた僕には、至上の愛を向けられた心地になったんだ。
ああ、僕は幸せだ。
初恋が実ったのだから。
「だけどナツは、どうしてあの小人さんに……?」
「それは……ハル兄が来たら、教えてあげる」
その時、僕はこの世にいないけれど、それでも僕は一生分の幸せを君に貰った。絶対貰えないと思っていた、君の心を僕は貰えたのだから。
感慨に浸っていると、じとりとした目が寄越された。
「ナツは、好きなひとはいないの?」
「君だけだ。信じて?」
「だったらナツのハジメテ……」
「ん……?」
「なんでもない。なんだかいいや。そんなこと、どうでもいいや。ナツがナツでいてくれてよかった。ねぇ、ナツ……本当にあたしが好き?」
僕は笑った。
「疑いやすいお姫様。君が信じるまで何度でも言うよ」
言葉を切って深呼吸。
何度も何度も伝えたくても伝えられなかった、僕の想いを言葉に。
「君が好きだ。――シズル」
僕の心、君に伝われ。