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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
◇◇◇
目の前にある、硝子の棺。
その中に横たわっているのは、目を閉じたナツ。
まるで微笑んで眠っているかのようだが、呼吸をしていない、心臓の音がしない、手足が唇が凍えるように冷たい。
今にも動き出しそうなほどの美しさを纏いながらも、身体的な"死"の特徴があった――。
――ナツ、ナツ、どうしたの!? 目を覚まして、ナツ!!!
睦み合いから目覚めたあたしは、ナツの異変を感じて、半狂乱になりながら助けを求めて家の外に出た。
異変は外でも起きていて、空を覆うほどにあんなに鬱蒼と茂っていた木々や、地面の落ち葉が朽ち、荒れていたのだった。
そして――沈んだ顔で座っていたサクラを見つけた。
――ナツが、ナツが!!
サクラなら、なんとか出来ると……、ナツが動かない理由を知っているのではないかと、直感的に思ったから……。
あたしは既に、彼が昔遊んでいた頭がやたらいい男の子であったことを思い出していたから、彼の知能ならば妙案が出ることを期待していたんだ。
サクラは……、急いで鏡の間の大きな鏡の裏に秘匿されていた硝子の棺を取り出すと、その中にナツを抱きかかえて入れた。
――なにをしているの、ナツは、ナツは死んでないわ!!
――ナツにはまだ完全な死は訪れていない!! だから特殊なこの硝子の箱に入れておけば、"その時"がくるのを僅かでも遅らせられる!!
そしてサクラは、話し始めたんだ。
美しく眠るナツを、鏡にたくさん映した部屋の中で。
「ナツは……一度死んでいるんだ」
――と。