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【SS】目が覚めたら…?
第3章 Ⅱ.ナツと……
 


「ナツ……」


 あたしはナツの濡れた頬に、何度も何度も唇を落とした。

 純粋で綺麗な雫を唇で吸い取るように。


「ごめんね…。不安にさせちゃって、泣かせちゃってごめんね……」


 キスを落とす度に謝った。

 いつもあたしは、ナツを傷つけてしまう。

 ナツを泣かせたくないのに、昔からナツは泣いてばかりだ。


 ナツはあたしの腰に両手を回して、しゅんと目伏し目がちにした。


「僕の方こそ、ごめんなさい。怒鳴って無理矢理……。僕、しーちゃんとそんな結ばれ方はしたくはないのに……」


 そして視線が絡む。

 至近距離で見つめ合う。


「これだけは信じて。僕はしーちゃんであるならば、どんなしーちゃんでも好き。しーちゃんに隣にいて貰いたくて、必死になっている。僕は自分の意志で、しーちゃんを選んでいるんだ、僕にとって眩しいばかりの、高嶺の花を。場違いなのは、僕だといつも思ってる」

「そんなこと」

「しーちゃんがいい」

「ナツ……」

「それ以外はいらない」


 外せない視線。

 揺れて止らない瞳。


 ナツがたまらないというように目を細め、そして喘ぐような吐息を漏らしたのはあたしで。

 見つめ合ったまま、唇が重なった。



「ふぅ……んっ、ぁ……」

「ん……舌……絡めて。もっと……しーちゃん……」


 おずおずと……相手の反応を見計らうかのような動きが、やがて確信じみた獰猛な動きに変わる。


 お互いから、鼻に掛かったような甘い声が漏れ、さらに興奮を煽り立てるような水音が静寂な空間に響き渡る。


「あ……ん……ぁ……ナツ…んんっ」

「可愛い……こんなに可愛いんだよ。しーちゃん……ああ、たまらない…」


 ナツの両手があたしの後頭部をがっしりと掴み、何度も何度も角度を変えて、やがてあたしを床に押し倒し、上から覆い被さるように、深くて性急なものに変わりゆく。


 止らない欲情。

 走る快感。


 キスだけであたしの秘部はどろどろだった。
 
 もどかしげに動くあたしの足を感じているくせに、ナツの手は伸びない。

 あくまでキスだけに没頭している。


 口の中とは、ここまでに快感が凝縮されている場所なのだろうか。

 ナツの舌になぞられた口内は、どこまかしこも気持ちよすぎて、秘部をかっと熱くさせ、子宮を疼かせる。
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