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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
サクラは昔から頭がいいことを知っている。将来の参謀として期待されているほど、その知能は大人顔まけで。
今、彼がなにをしてどう生きていたのかわからない。
だが、考えて見れば――。
だかだか一介の臣下の息子の申し出に、お母様が動いたこと。
魔力というものをやけに知っていること。
お母様の魔力によってナツが出てこれない森を、サクラは自在に出入りできていたこと。
硝子の棺の存在を知っていたこと。
そして、普通人であれば考え難い解決案を提示できること。
それは、サクラという存在が、人より頭がいいから、という理由だけでは納得いかない、不可解な背景があるからのようにも思えた。
「あんたは動くな。俺"達"に、大好きな"眠り姫"を救い出させてくれ」
揶揄しているようで切なげな。
そんな表情であたしを見つめてくるサクラ。
「あなたは……なにものなの?」
するとふっとサクラは笑った。
どこか懐かしい心地にさせる表情で。
「ナツの"マブダチ"だよ、ただの……」
そうして長い睫毛を震わせて、静かに目を伏せた。