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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
とある国の、とある日。
朽ちた森の枯葉を踏みしめ、ひとりの老女が白く綺麗な小屋を訪れた。
頭には黒い三角帽子、そして身体を包む黒いマント。
手には、毒々しいほど赤い色をした林檎がたくさん入った、果物籠をぶら下げている。
その表情は帽子に隠されわからないが、その呼吸は焦っているかのように不安定なものだった。
老女は小屋をノックする。
「は~い」
中から聞こえたのは、可愛い子供の声。
扉の上の方にある覗き窓から、可愛いつぶらな瞳が見返してきた。
老女は一瞬、驚いた表情を見せたが、咳払いをして嗄れた声で言った。
「林檎はいらんかね」
「いりませーん」
かちゃりと覗き窓が閉ざされて、老女は慌てて扉を叩く。
「おいしいおいしい林檎だよ。アップルパイにしたら美味しいよ?」
ややしばらくして、また覗き窓が開いた。
「アップルパイ!?」
食らいついたと老女がほくそ笑む。
そして扉が開かれ、中から出て来たのは――。
「GAME OVER」
野性的な美貌を持つ美貌の猟師と、声模写をしていたらしい眼鏡をかけた黒髪の男。
「そ、そんな……だって窓から覗いた目は、つぶらで可愛い……」
「可愛い、だとさ。よかったな、サクラ」
猟師の揶揄を受けて、真っ赤になった黒髪の男は、げほげほと咽せ込みながら、眼鏡を外すと我武者羅に手で目を擦った。