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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
「城から出るには、それなりの日数が必要です。節度をと思いましたが、もしご不満なら、お着替えと湯浴みも、俺が致しますか? お望みなら添い寝もよろしいですよ?」
「冗談じゃない!! それが問題じゃないの、い、一緒に住むの!?」
動揺に声がひっくり返る。
「はい。それがなにか?」
「なにかって……」
慌てて向き直れば、男……サクラは目映い笑顔のままで。だから慌てて斜め上を向く羽目になる。
「お守りすると言ったでしょう? あなたから絶対的信用を勝ち取るために、精一杯勤めさせて頂きます」
「だ、だけど……」
「それとも、既に俺を信じて下さってますか、ちょっぴりではなく心の底から」
「……っ」
動揺する度に首がぐぎりぐぎりと音がする。音がする度に、ぴくりと動く男の目。それから逃れる為には、不自然な角度で頑張っていなければいけない。
「おや、首がどうかしました?」
「いいえ、なんともありません!!」
「なんだか立て続きのおかしな音がしましたが。まさか、動揺してませんよね、たかがあなたを守るための同居に」
「動揺なんてしないわ、たかが同居だもの」
わかっていて聞く、なんてサクラは意地悪なんだろう。
否定してしまった以上、首が痛くとも我慢していなければならない。目だけ睨み付けると、サクラは笑っていた。
そして痛いところを突いてくるのは、首だけではなかった。
「そうですよね、おひとりでここでは生活できないのをおわかりでしょうしね。おいしい料理を食べられたことはあっても、ご自分で料理なされたことないでしょうから、幾ら生物学上女性とはいえ」
「……う」
なんだかけなされて気分悪い。こんな奴と一緒であるくらいなら、食事なんてしなくても――。
「高貴な女性では、追手から逃れられる剣すら持てないでしょうしね。日頃勉学に熱心に励まれて軽く感じているでしょう羽ペンと違いますし」
「うっ……」
なんで……勉学が嫌で羽ペンが鉛のように重く感じて動かないことを知っているんだ。