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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)

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 素性も知らない美貌の男と、なりゆきで共同生活を始めて2日。

 上流貴族のような優雅さを称えた物腰のくせに、食事を作ったり掃除をしたりとこまめに動き、城の使用人よりは遙かに役立つその機転の良さに目を見張ってばかり。


 コノヒト、ナンナンデスカ。


 最初こそ、無体なことをされるのではないかとびくびくしていたが、サクラはあたしが言い放った通り、節度を保って距離をあけて、2日目になってもあたしの身体に触れようとする素振りを微塵にも見せない。

 あたしの言葉に忠実だとも言えるだろうが、離れてても向けられる辛辣な揶揄の言葉からすれば、単純にあたしに興味がないのか、潔癖症かを疑った方がよさそうに思える。

――ふぅ。本来ならばこういう料理は、女性の繊細な味付けが必要なんですが、なにせこの屋敷には女性というものが見当たりませんからねぇ。

――知っていますか姫。なにもしないで遊び惚けている人間は、城外では「役立たず」というらしいです。

――またドレスに薔薇のとげで穴をあけるなんてね。学習能力がないんでしょうか。何度も繕う羽目になるこちら側の気持ちなんてお構いなし。ドレスは使い捨てるなどと教育されてきたんでしょうか。


 かっちん、かっちん、かっちん!!

 この嫌みったらしい物言い。

 なまじ、彼がなんでも出来るだけに、「役立たず」のあたしは反論することも出来ない。言われるがまま、あたしはまず我慢というスキルを身につけた。これぞ大人の対応だ。
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