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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
 

 それから3日経ったが、悔しくてたまらない気持ちは消えない。

 サクラはあたしに触れずして、あたしをやりこめているのに、あたしはサクラの顔色ひとつ変えさせることができない。

 思いきりサクラに憤慨しているせいか夜はぐっすりと寝て、目覚める朝はいつも気分がよく。怒り任せだからサクラが作る食事はぺろりとたいらげ、妙な料理にするまいとお料理だけでも必死に覚えて、今ではそこそこ食べられるものになったと思う。…気づいたら、あたしが料理当番だ。サクラは監視のように壁に背を凭れさせ、腕組みしながら突き刺す視線……。

 追われている身で、こののびのびとした気分は環境はなんなのか。この先の不安はまるで感じていない。その時その時のサクラをどうやりこめるのかに必死で。

 もしかしてこの男、あたしを元気づかせようと考えているとか……。


「なにか?」


 ……ありえない。


 だから――。

 そのメガネをキラリと光らせて、指でくいくいと押し上げながら声をかけないで欲しい。綺麗な顔だから余計その上から目線が冷ややかすぎて、あたしが凄くバカに思えてしまうから。


「随分と真抜けた顔をなさってますが、どうなさいました? あ、元からでしたか? これで美姫だなんて、詐欺ですよね。くくく…」


 むかむかむかっ!!

 絶対この男はあたしを女だとは考えていない!!


 どうすればいいだろう。

 考えに考えて、庭に密やかに落とし穴を作っても、こっちの誘う方向に来てくれない。悲鳴を上げてみても来ないんだ。

「放られたスコップに泥だらけのドレス、その大根役者のような演技に、誰がひっかかると? 俺を罠にかけるのなら、もっと頭を使った方がいい。ああ、使う頭もありませんか?」


 うう、悔しすぎる!!
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