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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
「わ、罠なんてかけてないもの。ただ白い薔薇の植え替えをしていただけで。ほら、別にあたし、あた……きゃああああ!!」
否定した、自らが作った罠に自らがひっかかる。しかも罠を仕掛けようとした男の前で無様に。……ああなんてあたしは愚かなんだろう。
深く掘った穴に落ちると思いきや、あたしは熱い何かに包まれて、痛みすら感じない。
「姫、ケガは!?」
気づけば――。
髪を振り乱し、真剣に覗き込んでくる黒い瞳。
サクラは全身であたしをくるみ、自ら落とし穴に落ちたのだと、すぐに理解した。
上半身が穴から出ている…そんな浅いものではあるけれど、片方の長い足が変な方向に曲がっている気がする。
「あ、足……」
心配と恐怖にぶわりと涙が出て、唇が震える。さぁっと血の気が引いた音を聞いた。懲らしめてやろうと作った落とし穴だけれど、こんなに変な方向に足が曲がってしまうような事態を望んではいなかったから。
「足が……」
「大丈夫です」
「だけど……」
するとサクラは笑う。
いつもの意地悪そうなものではなく、柔らかい笑みで。
「あなたがご無事ならいいんです。たとえこの足が千切れても」
「でも!!」
「言ったでしょう、お守りすると」
「だけど!!」
そして止まる。
今まで触れていなかったサクラと身体を密着しあい、唇が至近距離にあることに、お互いが同時に気づいたらしい。
「………」
「………」
その状態のまま、動きだけではなく……、時間すら止まったように思えた。