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【SS】目が覚めたら…?
第3章 Ⅱ.ナツと……
 

「ここまで我慢出来ている修行の効果は出ているでしょう? だけどそれは永遠じゃない。しーちゃん、僕がまだもっているうちに、ねぇ……言って。おねだりして?」


 もう繋がっている体勢なのに、ズボン越し。

 焦りの見えた顔で、あたしを急かしてくる。

 

「そんな恥ずかしいこと言えない。ナツの方こそ、言って」


 あたしの両足は自然と既にナツの腰に巻き付いて、ズボン越しのナツのモノを深く受け入れようと、擦り付けるようにして動いている。だけどナツのモノはズボンの中。


「恥ずかしいって言っても……言葉より恥ずかしいことしてるじゃないか。ああもぅ……降参。じゃあ、しーちゃん一緒に言おう?」

「降参で一緒なの? まぁいいか。あたしも余裕ないから、だったらいっせぇの……はくしょんっ」


 直の肌を重ねていたわけではない、キスで燃えて汗ばんだ身体は、急激に寒さを感じた。

 くしゃみがとまらず、ナツが慌てた。


「しーちゃん、ここは駄目。しーちゃんが風引いちゃう。場所、場所変えよう? ね、温かい場所で繋がろう?」


 今すぐ繋がりたいとナツの腰は主張する。

 それを我慢するナツの顔は、泣き出しそうだ。


「そうだね……はくしょんっ」



 そしてあたし達は慌ただしく、道場から出ようと扉を開けた。

 すると――。


 扉の外には、ほかほかの甘酒がふたつ。

 そしてあたしの脱ぎ捨てていた草履が用意されてあった。

 切れた鼻緒も修復済み。


 こんな機転が回る人物は、ナツ以外にはひとりしか思い浮かばない。


 バトラーモモちゃんだ。きっと――。


 そしてナツもモモちゃんを思い浮かべたらしい。


「聞かれちゃったかな、サクラに」

「今さらだよ……」


 あたしとナツは、苦笑した顔を見合わせた。



「あ、優しいモモちゃんに言ってなかった」

「なにを?」

「あけましておめでとう。今年だけじゃなく、これからも……どうぞよろしくね、って」

「僕はもう言ったよ。しーちゃんのいない元旦」

「へ!?」

「うん、おせち持ってご挨拶が恒例だから」


 ああだからモモちゃんは、知ってたんだ。


――あれ、今日はナツといるはずじゃ。



 モモちゃん、いつもありがとう。

 モモちゃんの今年が、素敵なものになりますように……。

 
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