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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
「なにかへん、へんだけど……とまらない、気持ちいい、いいっ」
――姫。
サクラの声と共に、サクラの目と唇が思い出された。あたしの手に触れたあの手で、あの手でここを弄られたら――。
"姫、可愛いですよ"
「ああ、だめ、だめ――っ!! サクラ――っ」
弾けようとした瞬間。
……お母様が頭で笑った。
さすがは私の娘だと、淫乱だと嘲笑う。
「……ふ、ふぇ……っ」
……泣いて抜き出した指から、糸を引いて蜜が垂れた。
それを見てさらに泣いてしまった。
あたしはなにをしていたんだろう。
……よりによってサクラの名前を呼んで。サクラに愛撫されている気になるなんて。それで気持ちが良いと声を上げるほど、淫らになっていたなんて。
こんなこと、絶対サクラにばれてはいけない――。
「もう明け方……。湯浴みしよう。身体の汚れと共に、綺麗さっぱりと邪念を洗い流さないと、サクラとの生活に影響が出そう……」
秘め事を隠匿するために、のろのろと浴室に向かうことにした。
ずっと泣き続けたい心地になるけれど、あえて淫らな秘め事は考えないようにして、別のことを考える。
「なにか、なにか考えること……」
ふと、思い浮かんだのは鷹――。
あの鷹は捌(さば)かれず、あの後また空に放たれたらしい。放し飼いにしているのだろうか。あの鷹がまたここに来る時には、きっとあたしはいない……ことを願おう。
懸念していたサクラの足はなんともなかったらしい。就寝時までずんずんと平然に歩いていたことを思い出しながら、同時にサクラがなにか物憂げな顔をしていて、いつもより言葉に辛辣さがなかったなどと思い出す。
一体どうしたんだろう…。
その時気づいていれば一声かけたが、馬鹿なあたしは変な時刻に思い出してしまっている。ああ、またサクラに笑われる――。
「――って、ああ!! また朝からサクラのことばかり。もう考えるな、考えるな!!」
光の差し込んだ浴室――。
ドレスを脱いで、大きくて密やかにお気に入りになった浴槽に繋がる扉を開いた時だった。
むせ返るようなきつい香水の匂いと共に、
「……う……っ」
苦しげな男の声が聞こえてきたのは。