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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
 

 扉を細めて開くと、壁に背をつけているサクラらしき人物が見える。

 勿論風呂だから全裸。先客なんだから今湯浴みは遠慮しようと思いつつ、先ほど、罪もないサクラを自慰の道具に穢してしまったことを心で謝罪しながら、赤い顔のまま部屋に戻ろうと踵を返した時、


「ん……っ」


 また苦しげな声が聞こえてきた。


「もしかして……足が痛むのかしら!!」


 戻りかけたその足は、再び扉に近づく。


「は、ぁ……、ぁ……っ…」


 聞こえて来たのは、苦しさだけではない。

 喘ぐような息遣いと、甘さが滲む声色。


 ……まるで、直前まで自分がしていた喘ぎとよく似ていて。


「……まさかね」


 潔癖症を疑うほどに色事と結びつかないサクラが、あんな淫らなことをするわけがない。


 だったら、なにをしているの?


 ますます奇妙に思えて、サクラが一体なんであんな声を出しているのか確かめようと、扉を開けて顔を入れた。幸い湯気があたしを隠してくれている。



「あ……んっ、く……っ」



 あたしの目に映ったのは――



「はぁ、はぁ……ああ、シズ、ル……!!」



 足の間に入れた手を動かしながら、迷い子のように、弱々しくあたしの名前を呼び続けるサクラの姿だった。



「!!!!!」


 男というものの知識がないあたしでも、なにをしているのか本能的に悟った。

 これは、少し前まであたしがしていたのと同じ事。

 これは、他人が見てはいけないもの。




 だけど――。



「ぁあ……んんっ、シズル、シズ……」


 悩ましいその姿に魅了された。


 一途にあたしの名前を苦しげに呼びながら、男らしい喉仏を天井に向けるようにして、色っぽく悶えるその姿は……先程初めて感じた"あの感覚"を再現させ、燻ったままに終わった官能の波が、再び秘部を疼かせる。


 ……あたしの太腿に、淫らな蜜が……、とろりと伝い落ちているのを感じた。



 
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