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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
外界の薄闇は、次第に闇の濃度を強めていく。
城までがなんでこんなに遠い?
サクラに会いたい。
黒髪の麗しいひと。
あたしにする皮肉気な物言いも、無防備に笑う顔も、妖艶に身体を触るその顔も、なにからなにまであたしを熱くさせる。
あなたがくれた"同情"で、愛を育ててしまった愚かな女は、今……自滅しにあなたに向かう。
それでもいい。
あたしの中に咲いている薔薇が、枯れぬ内に。
ようやく城が見えてくるが、本日城には大勢の客が招かれていたようだ。
ああ、そういえば。
今日は1ヶ月に1度開かれる、近隣国との友好を確かめる宴が開かれる日だ。
宴の来賓客があたしと話すと、お母様の機嫌が悪くなってしまうため、宴を開催する国の王女の勤めとして、顔見せ程度の挨拶で終わらせて部屋に戻ることが多かった。
なんだか今夜は、随分とひとの出入りが多い気がする。
着飾った来賓客というより、軍服を着た男性の数が。
……今日は偉い人でも招かれたのだろうか。
宴にお母様が出るのなら、きっとサクラはひとりになる――。
そう思い、城に入ろうと足を踏み出したときだった。
後方から口を塞がれ、腕をぐっと掴まれ、茂みに連れ込まれたのは。
殺される!!
直感した。
自分の住まう城の前で、もう少しでサクラに会えると思ったこの時に。
「……ふ、ふふふ――っ」
抑えられている口は、空気のような音しか漏れない。
そんなあたしに投げられた声。
それは――。
「落ち着け、お前をどうこうしない。大丈夫だ!!」
黒髪の……、
「誰?」
野性的な美貌を持つ男。