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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
険しく思う切れ長の目と、肉厚の唇。
獣の毛で出来た袖の無い上着から覗くは、褐色の素肌。
筋骨隆々とした逞しい肉体には、男の色気すら漂う。
あたしというメスが屈服しそうな、強烈なオスの性的魅力を見せつける。
「――シズ」
低い声に、頭の中の記憶がちかちかした。
「シズ、俺だ」
男はあたしの腕を掴んだまま、その端正な顔を切なそうに歪めた。
「わからないか?」
憂いを含んだ切れ長の目。
漆黒の瞳が小刻みに揺れて、切実な光を灯す。
「――ハルだ」
ぱちんと、火花が散るようにして、記憶が蘇った。
――ハル兄の意地悪……っ!!
「……ハル、兄?」
すると男は、今にも泣き出しそうなくらいに歓喜に満ちた表情を作ると、大きな両手であたしの頬に触れた。
「そうだ……。シズ、待たせたな……」
蕩けるような甘い微笑みで、掠れた声を響かせた。
「準備に、時間が掛かってしまった。だけどもう、大丈夫」
――姫、待っていてくれ、必ず会いに行くから……。
「約束通り俺は来た。迎えに来たぞ……お前を」
……息が詰まった。