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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
「明日の予定だったのに、再会を早められた。薔薇園にお前がいると、サクラから聞いていたから、向かうところだった」
愛おしそうな眼差しであたしを見ると、
「シズ……、俺……」
ゆっくり顔を近づけてくる。
――シズ、お前可愛いな。
――うわっ、寒っ。ハル兄、なにか魂胆あるでしょう!?
「お前に会いたくて…たまらなかった……」
涙が混ざったその声が、至近の唇から漏れる。
「ずっと、会いたかったんだ……」
触れあいそうな唇。
あたしは、男を……ハルの胸を両手で突き飛ばして遠ざけた。
「あ……、ここでは恥ずかしいか。シズ、薔薇園に行こう?
そこでたっぷりと……俺の気持ち、伝えるから」
――この薔薇園は、モモちゃんとあたしだけの秘密ね。
「だめ」
無意識に、拒絶の言葉が出た。
「薔薇園に入らないで!! あそこはサクラの……」
サクラだけの思い出を閉じ込めたいから。
怪訝なハルの顔が向けられる。
「サクラから連絡があったんだ。お前と薔薇園で……夜を過ごすようにと」
「え……?」
「お前が、俺をずっと待っていてくれたと聞いた。俺を想ってくれていると……。シズ……俺もお前を……」
「サクラ……っ!!」
あたしはハルから伸ばされた手を取らずに、ハルに背を向け城に向かって走ろうとした。
「城は駄目だ!! サクラが俺達のためにうまくやってくれている」
"俺達"
かさり……。
あたしの心の中の薔薇から、また一枚花弁が散った。