この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
サクラと出会っていなければ、サクラと濃厚な時間を過ごしていなかったら、あたしは迷わずハルについていく。
あたしは今までずっとハルを待っていたのだから。
だけど、あたしを開放する王子様は……、ハルじゃないから。
「幸せに……してやんねぇとな……」
弱々しい声が、夜の静寂に広がった。
「そうか。だからあいつ……」
そしてハルは、力なくあたしの肩から手をどけた。
「ひとつ聞く。お前、サクラに抱かれたか?」
真摯な瞳に、あたしは頭を横に振った。
「あいつは、お前を求めなかったのか?」
こくり、とあたしは頷く。
「あたしがお願いしても、駄目だった」
「……願ったのか、お前……」
泣きそうに悲哀に満ちた眼差しに、あたしは頷いた。
そして思わず俯いた時――。
ガツン。
頭に衝撃。
「痛っ」
目をちかちかさせて顔を上げれば、ハルの手刀があたしの頭上にある。
「な、な!?」
「このアホタレ。処女が童貞サクラに逃げられてんじゃねぇよ」
そういうと、にやりと笑った。
「しょ、ど……」
なんて卑猥な男なんだろう。
だけどハルは昔からそうだ。ストレートな言葉を好んで使う。それに大概は動揺するけれど、ハルの言葉はいつもあたしの心に直撃する。
「意味くらいわかってるんだろ、童貞に逃げられたおねだり姫」
「っ!!」
あたしの顔が真っ赤に染まったのがわかった。
「ど、……いなわけないわ、お母様と」
「聞こえねぇ。ど?」
「ど……てい」
「聞こえねぇ。お前の口はどこについているんだ? ど、なんだ!?」
あたしの頬をむにゅうと摘ままれる。……昔のように。
だからあたしは手をばたばたさせながら、夢中で叫ぶ。
「童貞じゃないって言ってるの!!」