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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
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城の周りには多くの兵士が待機している。
中にはこの国のではない鎧や武器を持った兵も混ざっている。招かれた国の国王や重鎮らの護衛でこの国に来たのだろう。この国の兵より、様々な外の国の兵の数が多い気もする。
そして入り口から出入りする貴賓客や兵士達を見ていると、なにか事件でもおこったのかのような騒ぎになっている気がする。
「なにかあったのかしら?」
ハルに聞くとハルは眉間に皺を寄せて考え込み、そしてぼそりと言った。
「仮に、王女という身分があるために自由を失い城に閉じ込められ、代わりにどんなことでもできる力を得られるというのなら、お前はこの先王女でいたいか? それとも王女をやめたいか?」
自由を得たい――。
それは常々あたしの願っていたこと。
いつか王子様であるハルが叶えてくれるものだと信じていた。
だが、サクラを王子様としたい今――。
城を捨てることは、あたしが願う"自由"となる?
――この国の姫だろ!? だったらなにを逃げる。お前は正当なる国王と王妃の娘。ならば堂々と背筋伸ばして、正面から欲しいものを手に入れてこい。
あたしが願うことは……。
「今はまだよくわからないけれど、逃げるのは……なにか違うように思う。あたしは……、王女とは名ばかりで、王女としての力も責任もなにひとつ行使していない。それなのに王女だからと殺されそうになっていたという理不尽さが、なんだかたまらなく嫌だ」
するとハルは笑った。
「そう……サクラに言ってやれ」
なぜハルがサクラを出したのかわからないままに、ハルはあたしを肩に担ぎ上げた。
「王女としての誇りが出たのなら、お前は汚れずにいろ。お前を巻き込まない予定を狂わした責任は、俺がとってやるから」
そう言うと、ハルはそのまま正面入り口に進んでいったのだ。