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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
「だけど……。他の同盟を結んでいる国の兵が沢山よ? もしも協力すると兵が動いたら……」
「動かねぇよ」
「ハル兄が無敵なのはわかるけれど、だけど諸国の方々は皆お母様怖れているし……」
ハルがあたしを螺旋階段に降ろす。
「この国を支配していたのが、本当にお前の母親だと思うか?」
「え?」
「この国を動かし、同盟国を密やかに説得していたのは、俺の後釜だ」
「後釜……?」
そう言えば隣国はどうなっているのかわからない。
滅んではいないらしいけれど。
「大した奴だよ、あいつは」
あいつ? ハルはなにか知っているのだろうか。
「さあ、行ってこい王女。皆の前で死んだことになっていたお前の存在を、見せつけてこい。そこにサクラはいる」
「え? だけどあそこは、身分がある者でなければ……」
愛人などは高貴な宴に出られないのが暗黙のしきたりだ。
「だからいるんだろうが。いいか、俺こそ身分がない。お前の隣に立てない代わりに、お前の後ろは俺が守ってやる。これだけは俺は譲らない」
「もし兵が団結してハル兄を襲ってきたら……」
「俺は無事だ。俺を信じろ。そして……せめてこれくらい、男として守らせろ」
「……っ」
切なく揺れる漆黒の瞳。
「守らせろ」
……強く訴えるその視線に、あたしは逆らえなかった。