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【SS】目が覚めたら…?
第1章 お正月に目覚めたら。
「あのね、しーちゃん。実はしーちゃん用に、特別に用意している料理があるんだ……」
ナツが、意を決したように言ってきた。
「え、なに!? ナツが作ってくれたものならなんでも食べる!! おいしすぎて、食欲がとまらないもの!!」
「ふふふ、だったら……気に入るといいな。ちょっと待ってて。……お待たせ。これ、僕の今年の抱負。決意表明。だから……僕の決意、受け取って下さいっ!!」
あたしだけの特別製らしいそれを、あたしの目の前に両手で差し出し、なぜかナツはぺこりと頭を下げた。
まるでラブレターかなにかを渡す女子のよう。
あまりに切実に、かつ恭しい態度で差し出されたそれを、恐る恐ると覗き込んでみた。
………。
「ど、どう……しーちゃん」
ナツは少し顔を赤らめて、ちらちらと上目遣いであたしの反応を窺う。
大根のかつらむきで作った色取り取りの薔薇が咲いている。
それはいい。芸術的であまりに美しい。
だが――それに囲まれた、特大アワビ。
さらにそれに突き刺さるような位置にあるのは、特大マツタケ。
卑猥だ。
これはあからさますぎて、あまりに卑猥すぎる。
材料は豪華なのにな……。
時価○万円……もしくは○十万円するかもしれない高級素材が、こんなことに使われるんだ。
年明け早々に――。
「意味……わかる?」
……主張はわかった。
わかったが、正月早々……これを見たあたしは、どうすれと?
下品なジョークだと怒ればいいのか、笑えばいいのか。
だけどなぜかな、ナツが求めているリアクションはちがう気がするんだ。
ナツは至って真剣に、この卑猥なメッセージを届けている。
「……どう、しーちゃん。僕の決意について」
あたしが無反応だから、痺れを切らしたようで、ナツがゆさゆさとあたしの肩を揺さぶった。