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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
モモ Side
「サクラ、お母様と幸せになってね」
俺の目の前で、心から愛する姫が、俺の剣で胸を貫いた。
吹き出る血飛沫。
怒声、悲鳴、笑声……誰のものなのか、混乱で認識出来ない俺は、ただ姫の身体から出る血を止めたくて、姫を抱きしめるようにして俺の身体で血を受けた。
白い服が真紅に染まる瞬間、笑う女王の眼差しに宿る凶気が見えた。
そこから俺から理性が消えて、なにかを叫び続けた。
こんなこと、望んでいなかった。
俺は――……、姫と、この国や強大になっている隣国の実質的な支配権、次期国王の肩書きをすべてハルさんに返して消えるつもりだった。
そして姫なしで生きるこれからのために、その思い出として……姫に触れた。最初は一部に触れるだけでよかったのに、密な触れあいをしてしまい、どうしても深く繋ぎあいたい……そんな欲に勝てなくなってしまって。
一緒にいられる期日は明日。それまで時間があるというのに、残り僅かな時間で姫を無理矢理犯してしまいそうな恐怖に囚われた。
気が狂うほどに姫が欲しくてたまらなくて、外気でも俺の欲は治まりきらず。駄目だと思えば思うほどに、恋心と共に膨れあがる。
姫の願いを聞入れたかった。その願いこそ俺の心願。
解けぬほどに強く繋がりたくて、俺のものにしたくて。
……愛していると、俺を見てくれと、その心が欲しいと、零れ出そうになる熱情を必死に胸に抱え込み、胸の中が焦げついて痛みを感じるほどに。
全身が、姫の心を求めていた。
だが――できない。