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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
それに姫は最初から、ハルさんを待ち続けていた。
再会した時、俺のことを思い出す前に、姫の口から出て来たのは……ハルさんが残した言葉。それを語る姫の顔は活き活きとしていて、本当はハルさんを祝福しないといけないというのに、俺はハルさんに嫉妬してしまった。
俺の方が早く姫と知り合ったのに、どうして俺の思い出よりも、ハルさんの言葉の方を大切に残しているのかと……。
姫の心にはハルさんがいる――。
それがわかった時に姫のことを綺麗すっぱり飽きられればよかったのに、それができない俺は、卑怯にもハルさんから姫の面倒を任されている環境を利用して、最後だからと言い訳を作って、姫の肌に触れる喜びを知った。
結果それは、姫に対する恋慕と独占欲だけを増す結果になり、姫に溺れていく一方で。
これでは手放せないと、だから俺は未練を断ち切るために、待機していた鷹のナツでハルさんを呼んだ。
姫はハルさんを想い続けている。今夜予定通り女王を拘束するから、安心して薔薇園で夜を過ごして次の日に登城してくれと。
当初の計画では、次の日大公が同盟を結んだ諸国の軍が、密やかに俺が連合国の指揮官と推薦したハルさんを先頭に、この城を包囲するはずで。そしてその時、俺はハルさんに無事に姫を渡して、長年の責務を完了とするはずだった。そしてハルさんは軍に守られながら姫とともに、隣国へ……。そういうはずだった。
それをハルさんに先に来て貰うことで、俺の最後の役目……城内で姫を守ること…を早くハルさん移譲するだけを計画変更して、その後は予定通りに姫と隣国へ帰って貰おうと、俺と姫との接点をもう作らぬようにしたのだった。
もし次に会う機会があるとすれば、ハルさんの妻になっている姿――。
ハルさんと姫は両想いだ。愛し合う男と女一夜を共にすればどうなるのかなんて目に見えてわかる。その状況を俺があえて作り出して、はっきりと失恋して区切りを付けたかった。
そうでなければハルさんを裏切り、姫のすべてを奪い尽くすかもしれないほど、俺は姫への想いに切羽詰まっていたんだ。