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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
 

――昔と今は違います!! 私は猟師がしとめた肝をお届けしただけです。あの方の腕の良さは王妃様も御存知のはず。

――だが我の鏡は、美しいのは白雪だと言い張る。では猟師がもってきて、そなたが夜食にと腕をふるって我が食らった肝はなんじゃ? なぜそなたは夜しか顔を出さぬようになった?

――昼間は王妃様の公務を代行しているのでございます。ならば王妃様が執務をなさいますか? 近隣諸国との駆け引きをなされますか?

――そんな面倒は嫌じゃ。昼も夜も我は快楽に耽るのが仕事。まあよい。


 権力よりも快楽を貪ろうとする淫魔体質の王妃のわかりやすい信条が、俺のここ数日の生活ぶりを曖昧なままに終わらせた。

 だが女というものは勘が鋭くて。

――そなた、白雪を好いておる…のか?

 接触無かったのは十年近くになるというのに、再会してからの数日間で真実を見破られる。それほどに俺が姫に溺れてしまったのか、隠しきれない程に。


――そうであるのなら、薔薇園を枯らそう。


 それをさせないために、だから――。


――私は姫などなんとも思ってはいません。


 今まで培ってきた鉄仮面を被って、俺は余裕ぶって笑う。


――そうよのう。そなたが白雪に恋をすることは叶わぬ。その意味はわかるの? だから我を抱こうとしなかったのだろう?


 だが最後の最後で、俺の仮面は壊されて。


――見たのだろう、我の胸の痣を。なあ、だからそんなに泣きそうな顔になっておるのだろう? 愛(う)い奴じゃ。
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