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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
遅かれ早かれ姫は完全にハルさんのもとで女となり、俺とのことは忘れていくだろう。
これでいい。
すべてはあるべきところに戻れば。
俺が姫を奪うということが、ありえないことだったのだから。
そうして、姫の珍妙な死体に泣き真似をする王妃に反吐が出る思いでいた時に、姫が現れたんだ。そして俺に言う。
俺を好きだと、愛していると。
違うんだ、その心は淫魔の体質がなせるもの。お前の心は俺ではなくハルさんを求めているはずなんだ。
ハルさんはどうした?
焦りながらもぐらつく俺の恋心。
愛しい女が、敵陣に乗り込んで来て、俺が欲しいと言うんだ。
俺が欲しくて堪らない女が、俺に……欲しかった心をくれようとして。
ああ、だけど――。
もう少しなんだ。
もう少しで、姫は自由になれるから。
そのために俺もハルさんも動いていたのだから。
私情に流され、すべてを流されたくない。
だから俺は姫に冷たく接した。
王妃に従順なフリをした。
ハルさんはなにをしているんだ?
姫を巻き込まないという計画だったはずなのに!!
そして――。
俺が守りたかった愛しい女は、俺の剣で命を絶ったんだ。