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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
シズル Side
目が覚めたら――。
見慣れた自室の天井。
あたしは、自分の天蓋つきのベッドで寝ていた。
夢……?
どこからどこまでが?
よくわからず、ぼんやりとした頭を振り絞る。
そしてあたしの手が繋がっているのを知った。
見ればあたしの羽布団に顔をつけるように伏せている男……。
ふわふわのミルクティー色の髪が柔らかそうで。
「誰?」
その声に、ぴくりと手が動いて……男が顔を上げた。
美麗な顔立ちをした白皙の青年。ココア色の瞳が吸い込まれそうで。
「目覚めたんだね、しーちゃん……」
「誰?」
「僕だよ、ナツだよ?」
「ナツ……って、えええええ、ナツ!?」
ナツと名乗った男は嬉しそうに微笑んだ。
その笑顔は蕾がふわりと花開こうとする瞬間のように。
「なんで、なんで!? ハナタレ姿は!?」
「うん……鼻水とまったみたい」
「そう……。って、止まったからってこんなにならないでしょう!?」
「しーちゃん、昔の僕と今の僕どっちがいい?」
優しい笑顔で聞かれて、あたしは答えた。
「よくわからないや。どっちもナツじゃない。ハナタレナツ、あたしすっごく可愛く思ってたし、ナツが綺麗になって嬉しい反面寂しいし…複雑」
するとナツはとびきりの笑顔をつくった。
「うふふ、だからしーちゃん大好き」
ナツの手があたしの頬をひと撫でしてから、あたしの黒髪を耳の後ろにかけてくれた。
「好きだよ、しーちゃん……」
「あたしもナツが好きよ? 今までナツ、どうしてたの?」
あたしの切り返しのような言葉に、僅かに切なげに翳った顔。
ナツが口を開く前に、ドスドスと大股で現れたのはハルだった。
ノックという礼儀を知らないようだ。