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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
 

「サクラ。お前はどうするつもりだ? 俺はお前の働きによって復権し、ここ……俺の国での皇位継承権を持つ王子に戻った。お前は、王子の身分を剥奪され、そして俺らの国の同盟国によって包囲されたシズの国は、事実上解体された状態。

女王代行としてこの国の王となっていたお前の父親は、国王になれない事実を悟って俺の暗殺を企て…事前にお前に悟られて、暗殺は未遂に終わったが大公は自害。そのために息子であるお前の責任を不問とする代わり、庶民同等扱いの…名ばかりの貴族に格下げだ。

お前の肩書きは、実質上ないものに等しく、そしてシズは、まもなく国王と言われている第一王子の正妻候補。

お前は変わらぬ忠誠心によって、シズを俺に捧げるか? これからお前は、俺とシズに仕えて、シズが俺様に溺れていく様を見届ける気か?」


 サクラはやるせないというようなため息をつくと、あたしから身体を離した。まるでこれが正当な行為だというかのように。

 そしてサクラは、あたしに優しく微笑んでからハルを見て、その足元に正座した。


「俺はあなたと姫が幸せになるのが当然だと思ってきました。姫が血の繋がった家族と思い込んでいたこともありますが、すべては……姫の幸せのために。そのために姫は、あなたのもとにいるのが一番の良策だと思っていました。だけど姫が、俺を必要としてくれるというのなら、俺は諦めたくない」


 そう言うと――頭を下げたんだ。


「俺が姫を幸せにできないと思った大きな理由は、あなたの姫への想いを知っているのと、姫と俺が禁忌の関係だと思ったから。……だけど真実が明るみになった今、俺は……あなたに姫を渡したくないんです。あなたに負けないほど、俺も姫を想ってきました。姫を俺が、幸せにしたいんです」 


 あたしの身体が、心が、サクラの言葉に奮えた。

 出てくる涙は感動してのもの。


 サクラの言葉が嬉しくて。

 そしてあたしの心の中に、サクラの言葉でまた薔薇が地中より芽を出したことを感じた。


 ねぇ、サクラ。

 あたしはこの薔薇を育ててもいいの?
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