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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
 

「お前の能力は知っている。お前が今までどんなに俺を信じて尽力してくれていたのか、俺は十分にわかっているつもりだ。

元々俺は、しきたりに囚われる王子なんていう肩書きは窮屈なだけのものだった。俺は誰に屈することなく、したいように生きたいと思っていた。

その俺が誰かに仕えるのなら。国というものではなくお前がいい。

お前は前を進め。俺はお前とシズの後ろを守る。

俺は……シズの前に拓いている道を全力で守るお前についていく」


 そしてナツも同様に片膝をついて頭を垂らした。


「僕達兄弟はあくまで皇位継承権を持っているだけで、国王になりたいわけではない。僕達より国王に相応しい器を持つ者が現れたら、潔く退くくらいの心構えは最初から僕達にはあったよ。ハル兄には愛国心はあまりないみたいだけど、僕にはある。

新しい国を作るには、2つの大きな国の状況を把握して、諸国との同盟話をまとめあげたサクラがするのが一番。サクラの人柄は僕もハル兄もわかっている。それにサクラは今まで僕達に遠慮して、我が儘なんて言ったことがなかった。そのサクラがこうまで言うのは、それだけ本気なのだと僕達は強く思うから。だから僕達は、友情の名のもとに、僕達の大切なものをサクラに託す。

……どうかしーちゃんを笑顔にさせられる国を作って下さい。しーちゃんが幸せでいられる、最高の国を」


 ナツ……。

 ナツは泣くのを堪えているかのような強張った顔を、ふわりとした笑いに変えた。ハナタレの時にも通じる、彼の純真で素直な心を見せたんだ。


 兄弟の嘘偽りない真情が、サクラの足元で吐露された――。


「そんな……、俺はあなた達にっ」


 狼狽えるのはサクラばかり。動じない兄弟の決心は固い。


「だったら、シズを諦めるか?」

「しーちゃんくれる?」


「嫌だ!! それは出来ない!!」


 きっぱり言い切ってから、サクラは顔を歪めた。


 正直、あたしはサクラと一緒にいられるのならサクラがどんな身分であろうとどうでもいいと思っていた。

 だが、逃げたくないと覚悟した時に、ちょっと思ったんだ。

 王女でなくなることは、逃げることにならないのかと。

 王女の責務を果たさぬまま、このまま流れていっていいのかと。
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