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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
ハルと視線があった。
ナツの微笑みもあたしに向けられた。
多分、あたし自身より、あたしのことを理解しているのだろう。
そして恐らくサクラも。
だが確かに、この展開に彼が躊躇するのもわかる。
彼は、ハル兄やナツの影で動いてきたのだから。影が光に取って代わることをよしとしないのは、きっと彼の生真面目さゆえのものだろう。
……それすらあたしには愛おしい。
「サクラ。俺達を使って国王となって国をまとめろ。それ以外、俺達はお前とシズとを認めない」
「そうそう。しーちゃんに最高のものを贈れる男じゃないと、僕達は絶対許さないからね。ハル兄はどこまでもぐいぐい行くだろうし、僕も参戦するからね。いいの? 本気の僕達を相手にすることになるよ?」
「そ、それは……」
そしてサクラは――。
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「よし、だったら今から国王になるための勉強をしなくちゃな。民からの上奏文とか、とにかく頭がいたくなるような面倒臭いことの処理、お前は得意だったよな?」
……ハル兄、王子に戻った早々、責務放棄ですか。
「実は偶然にも、今回しーちゃんの国に兵をあげた諸国の王様達と、連合軍勝利のお祝い宴開く予定になっているんだ。だけど僕……森に引き籠ってたから、誰が誰だかわからない状態で長くお話出来なくて…人見知りだし」
……ナツ、今のあなたはえらく愛想が良くて、饒舌だよ?
思いきり、王子としての煩雑な仕事ばかりをいいようにサクラに押しつけながら、両腕をとられてずるずると引き摺られるようにして、サクラは部屋から出て行った。
あたしは、ぽつん…。
サクラと話したかったのに、サクラを奪われた。