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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
サクラが話を切り上げようとすれば別の誰かが挨拶にきて。全てが同時に話し出しているのに、サクラはすべて聞いて答えている。
そこに感嘆してサクラってば凄い…などと惚れ直す時間にもないほどに、後から後から詰めかけ口々に自分のことばかり言う客の嵐に、半ば押し出されるようにしてテラスにまで追いつめられたあたし達。
夜風が気持ちいいなどと悠長なことは感じない。
どうして出入り口があるのに、部屋の外に出られないんだ。
どうして反対側にまで押し出されるんだ。
あたし達は、あっちから出たいのに!!
「サクラさま!!」
「国王!!」
サクラを次期国王だと認めるのなら、どうか国王を守って下さい。国王の意を汲み取って休息を下さい。
その時だった。
ピシャッ。
テラスという狭い空間に大勢の来賓客が殺到しそうな勢いだったのを、ナツとハルが窓を閉めてカーテンで遮ったのは。
途端にしーんと静まり返った夜景にたたずむあたし達。
それまでの喧噪とあまりにも違い過ぎて、居心地悪くなる。
「助けてくれたのかしら」
サクラはあたしの質問に答える代わりに、カーテンで見えないその窓に、深々とお辞儀をした。……その奥の兄弟に向けて。
テラスは奥へと続いている。
そこから広間の隣にある客間に入り、あたしの部屋に――。
そう思ったのに、テラスから入ったその部屋でもう、あたし達は爆ぜた。
相手が欲しい心が止まらない。
その体温を直に感じたくて仕方が無い。
焦らされるにいいだけ焦らされてきたんだ。
欲しい気持ちが爆発する。
そして――。
「んん、んふぅっ……」
「はっ、はっ……んん、もっと強く、俺に……」
閉めた窓に押しつけられるようにして、激しく舌を絡め合うキスをした。身体を強く押しつけ合うようにして抱き合う。
寝台は目の前なのに、そこまでいく余裕がない。我慢させられていた分、身体に灯った火は瞬く間に激しく燃え上がる。